住んでいるマンションから通えない勤務先への転勤命令が出た場合は引っ越しをする必要があります。
その場合、所有しているマンションに戻る予定があれば売らずにそのまま所有したり貸したりする可能性がありますが、戻る可能性が低ければそのマンションを売ることになるでしょう。

マンションの売却をする場合は、さまざまな税金や手数料がかかりますので基礎知識を持っておいた方がよいでしょう。
そこで、マンション売却時にかかる税金や手数料、そして支払うお金だけでなく戻ってくるお金などについてご紹介します。

所得税とは

マンションを売却するときには、売却益が出た場合に限り所得税が課税されます。

所得税の計算上、マンションの売却益は分離課税の譲渡所得に分類されます。
分離課税とは、給与所得などの他の所得と合算せず、売却益だけを分離して税額計算する課税方式のことをいいます。

マンションの売却益の計算方法は、売却代金からマンションの取得費と譲渡費用を差し引いて求めます。

取得費とは、マンションを手に入れたときに支払った金額から古くなって価値が減少した分を差し引いた中古価値だと理解するとよいでしょう。
取得費には、マンションの購入代金以外に購入時の仲介手数料や不動産取得税、登録免許税なども含まれます。

譲渡費用とは売却にかかる費用のことです。例えば、売却時の不動産仲介手数料が該当します。
売却益にかかる所得税率は所有期間に応じて3種類あり、売却年の1月1日時点で所有期間が5年以内であれば30%、5年超10年以内であれば15%、10年超であれば10%です。
10%の税率の適用を受ける場合には、他にも満たすべき要件がありますので、詳細は国税庁ホームページで調べたり税務署や税理士などに相談したりすることをおすすめします。

また、所得税に対して2.1%の復興特別所得税も課税されます。

住民税とは

マンションを売却した場合は、住民税もかかる可能性があります。
所得税と同じく、売却益が出た場合にのみ課税され、売却損が生じた場合は課税されません。
マンションの売却益の計算方法は所得税と同じですが、税率は違います。

売却年の1月1日時点で所有期間が5年以内の場合は9%、所有期間が5年超10年以内の場合は5%、所有期間が10年超の場合は4%となっています。
10年超の軽減税率の適用を受けるにあたっては、所得税の場合と同じく所有期間以外の要件もありますので注意が必要です。

所得税、住民税、復興特別所得税を合わせると、売却年の1月1日時点で所有期間5年以内の場合は39.63%、5年超10年以内の場合は20.315%、10年超の場合は14.21%が売却益に対して課税されることになります。

特に、5年以内の売却と5年超の売却では税率が倍近く違いますので、マンションを購入してから5年前後で売却をする場合は、売却時期について慎重に判断する必要があるでしょう。

印紙税とは

印紙税とは、文書に対して課税される国税です。
マンションを売却する場合は、売買契約書を交わすことになります。その文書に対して印紙税が課されることは知っておく必要あるでしょう。

印紙税の納税方法は、印紙を購入して契約書に貼付することによって行われます。
課税文書に印紙が貼ってあることが納税の証というわけです。
契約書は契約当事者双方が保管することになるため、通常は2枚の契約書を作ります。
そのため、印紙は契約書2枚に貼る必要があります。1枚を買手、もう1枚を売手が負担するのが一般的です。

印紙を貼らないと印紙代とその2倍の金額のペナルティーを支払う必要がありますので注意が必要です。
また、不正な再利用を防ぐために消印が必要であることも理解しておきましょう。

いくらの印紙を貼ればよいかについては、契約書に書かれている売買金額によって判断します。

例えば、原則として売買代金が1,000万円超から5,000万円以下の場合は2万円(1万円)、5,000万円超から1億円以下の場合は6万円(3万円)などと定められています。(カッコ内は軽減税率の印紙代、マンションの売却の場合は2018年3月31日まで軽減措置の適用があります。)

不動産業者に支払う手数料

マンションを売却する場合は、不動産業者に支払う手数料も発生するのが一般的です。マンションの所有者自身が買手を見つけ出し売却する場合は不要ですが、売却する個人が買手を見つけるのは大変な場合が多いです。なかなか買い手が見つからないという状況になってしまう可能性もあります。そのため、不動産の売却においては不動産業者を活用することが多いでしょう。売買を仲介してくれた不動産業者に報酬として支払うのが不動産仲介手数料です。不動産仲介手数料は、法律によってその手数料の上限が定められています。売買代金が200万円以下の場合は売買代金の5%と消費税、200万円超400万円以下の場合は売買代金の4%+2万円と消費税、400万円超の場合は売買代金の3%+6万円と消費税となっています。新興不動産会社などは、この上限金額以下の手数料で仲介してくれる場合もありますが、ほとんどの場合は上限金額いっぱいの手数料を支払うことになります。そのため、マンションを売却する場合は、仲介手数料の上限金額の資金を確保しておく必要があるでしょう。

参照
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/inshi/08/10.htm

登記費用とは

マンションを売却する場合は、所得税などの税金や不動産仲介手数料以外にもかかる費用があります。それは登記にかかる費用です。

登記費用とは、土地・建物ごとに所有権などの移転登記をする場合にかかる国税で、登録免許税といいます。
登記には表題部と権利部があり、権利部に係る登記を行う場合は登録免許税を支払う必要があります。

売却時には、マンションの所有者を変更する所有権移転登記を行うのが一般的です。
所有権の移転登記とは、不動産の所有者が変更になったことを登記するものです。

登録免許税の金額は、土地については、居住用で一定の要件を満たすものであれば固定資産税評価額の1,000分の15、居住用中古マンションの建物については固定資産税評価額の1,000分の3です。
ただし、土地・建物いずれも平成29年4月以降の売却は1,000分の20の本則税率に戻る可能性があります。
適用期限があるものは税制改正によって延長される可能性もありますので、実際に登記する段階によく確認する必要があるでしょう。

住宅ローンの残高が残っていて全額返済をしてから売却する場合は抵当権の抹消登記も必要です。
抵当権抹消登記は、税率の設定はなく不動産1件につき一律1,000円です。
登記は司法書士に依頼して行うことが多く、その場合は司法書士への報酬も発生することになります。

逆に戻ってくるお金はあるの?

マンション売却時に戻ってくるお金もあります。戻ってくる可能性がある主なお金としては、火災保険料と銀行保証料があげられます。

火災保険は、マンション購入時に火災などに備えて加入する損害保険です。
この火災保険料は、長期契約の場合、保険料を一括して前払いすることによって保険料が割引されますので、一括前払いを選択している人も多いでしょう。
マンションを売却する場合、未経過期間に対応する前払い保険料があれば、保険会社から返金されます。

また、銀行保証料も戻ってくる可能性があります。
保証料とは、ローン返済ができない場合に保証会社が貸手の金融機関にローン残金を払う保証契約に対する対価をローンの借手が負担するものです。
保証料はマンション購入時に一括して支払う場合と住宅ローン返済と合わせて分割支払いする場合があり、火災保険料の場合と同様に、一括支払いをしている場合は未経過期間に対応する保証料が戻ってきます。

マンション売却時には、さまざま税金や費用、戻ってくるお金があることを踏まえて資金繰りをすることが大切です。