家を売る際の理由は人それぞれに違います。
転勤や離れた家族との同居を目的としたものもあれば、住宅ローンの返済不能によるものなどネガティブな理由の場合もあります。

また、なんらかの事件が起こった場合や近隣トラブルが起因している場合には、買い手にとってもマイナスな要素になるため、慎重に考えなければいけない理由とされています。

家を買うということは、建物だけでなく環境をまるごと買うといっても過言ではありません。そのため、家を売る理由を気にする買い手は少なからず存在します。

不動産売却を考えるときにはそれぞれの理由に応じて買う側がどんな印象を持ちやすいかを把握し、それに応じた売り方を選択して必要な法律を押さえておきましょう。

ポジティブな理由で家を売る

家を売る理由には大きく分けてポジティブなものとネガティブなものがあります。
主に次のようなものがポジティブな理由とされています。

  • 新しい家の建築
  • ライフスタイルを変えるための移住
  • 転勤など生活上の事情

新築は同じ土地に建て替える人も多いものですが、家族構成の変動などによりさらに広い土地を求めたり、または立地などを変えたりする目的で新たに土地を購入して建てる人もいます。

ライフスタイルを変えるというのも近年増えている理由のひとつで、例えば定年退職後に自分の趣味を生かせる場所に移住したり老後を考えた物件に引っ越したりというパターンです。
夫婦だけで介護や医療体制が整ったマンションに入居する例もそれに当たります。

そして、転勤による売却も理由として挙げられることの多いものです。
単身赴任を選択する人もいますが、子どもの義務教育期間に相当する長期が見込まれる場合や転勤をきっかけに実家に戻る人など、生活をするうえで妥当であり一般的に見て好ましい印象を持たれやすいケースが、家を売る際のポジティブな理由として考えられています。

ネガティブな理由で家を売る

一方、ネガティブな理由としては、主に次のようなものが挙げられます。

  • 近隣トラブル
  • 騒音やにおいなどの環境問題
  • 離婚
  • 住宅ローン返済の滞納
  • 近隣または家での事件

近隣にトラブルを起こしやすい人がいる場合や、騒音やにおいなど住むうえで重要な問題となる内容が含まれていると、次に住む人もその環境を余儀なくされることは十分考えられます。
近隣トラブルは当人同士のなんらかの食い違いや付き合い方によるものもあるので必ずしもトラブルが起こるとは言い切れませんが、物件の内覧では気づきにくいこともあり、購入前に慎重になる人もいます。

離婚による売却は住むこと自体には影響しないものの、気にするかどうかは個人差が分かれることも多く、ネガティブに捉える人もいることを覚えておきましょう。
特に結婚をきっかけに購入を考える人にとっては縁起が悪いと考えて避ける人は少なくないものです。

住宅ローンの返済ができなくなったことが理由の場合も、離婚同様、物件や環境には特に問題はありませんが、一般的に好ましい理由ではありません。
また、家の中や敷地で起こった事件はもちろんですが、隣接する家など近隣で殺傷事件が起こった場合でも、購入を避ける人が多いと考えておくのが妥当です。

売る理由によって売却方法は変えるべき?

不動産を手放すときはできるだけよい条件で売却できるに越したことはありません。
住み替えが理由の場合には、売却した費用を新しい家の資金にあてる人もいます。離婚が理由であれば、慰謝料の支払いなども考えられます。

しかし、同じ理由でも住宅ローンがない場合と返済が残っている場合では条件も違ってくるものです。
時間にも資金にも余裕があるなら、慌てないほうが条件を落とさずに売れることもあります。

転勤などの理由で将来的にまた住む可能性も残っている場合は賃貸にする人もいますが、固定資産税や経年劣化による修繕など管理にかかる費用や手間の負担を考えれば売却のほうが適している場合もあるので、慎重に決めましょう。

また、住宅ローンの返済そのものが理由となっている場合は残金をどうするかということも視野に入れて売り方を考えなければいけません。
返済が厳しいと感じたら金融機関と相談し、任意売却やリースバックを検討するという選択方法もあります。

任意売却というのは競売のように裁判所が介入するものとは違い、金融機関との話し合いで進めていける売却方法です。
売値が競売より高値が見込める以外に、家を明け渡す時期なども考慮してもらいやすいので計画的に引っ越すことが可能です。

リースバックは不動産会社などに家を買い取ってもらい、賃料を払うことで住み続けることができるもので、家に愛着があり手放したくない人にとってはよい手段ではないでしょうか。

不動産を買う買主側はどんなことを気にしている?

家を売るときには、なにかしら売る理由が存在します。それは売る人によってさまざまです。
どんな理由でもすべて買い手に報告しなければならないわけではありませんが、理由を知ることで安心できる人も多いことは頭に入れておきましょう。

離婚や返済不能に陥ったことなどが理由であれば、買い手によってはネガティブな要素と判断するかもしれません。
離婚や返済不能などのような事件性のない理由や建物に物理的には影響のない理由に関しては詳しい経緯まで話す義務は問われませんが、「宅地建物取引業法」の第47条1号に定められる“相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの ”として考えれば、理由として内容を簡単に伝えておく義務は生じると考えたほうが妥当です。

そこに住む人にとって重大な問題になる部分や家を購入する決め手として大きな判断材料とされる事柄については告知の義務が生じるので注意しましょう。

特に自殺や他殺といった事故物件を隠して売ることは違法行為になります。
事件やなんらかの事情によって死亡者が出た家は、購入されにくいことが考えられるので伝えるのを避けたいのは当然の心理かもしれません。
しかし、死亡による事故物件は法律で告知することが義務づけされています。

この他にも、シロアリによる被害や水漏れで家屋に傷みが生じている場合など、次に住む人が快適に暮らせない瑕疵があれば告知しておく必要があります。
告知せずに売却して後に裁判になるケースも増えています。
裁判結果も判例によってさまざまで伝え方など条件や内容でも異なるので、不動産会社に相談してみましょう。

不動産売却にあたっての告知義務とは?

上の項目でも触れたように、家を売るときにはそこに瑕疵があれば「告知義務」が生じます。
物件を購入する側は、家を見に来るときには何度か見ておきたいという人もいますが、時間や距離の都合でなかなかかなわないこともあります。
2~3回内覧してから慎重に決める人もいますが、1回の内覧で決めてしまうことも多いようです。

天候や時間帯を選ばないと気づきにくいものだけでなく、実際に住んでみないと分からない物質的な瑕疵は、購入してから訴訟になるケースも少なくありません。
また、見た目でも分かる部分についても見逃してしまう人もいるので、後でトラブルになることを回避するためにもしっかり伝えておきましょう。
修繕やリフォームについても同様の対応をしておけば買い手の安心にもつながります。

自殺や他殺などの「事故物件」については、事件後に最初に入居する人に対してのみ法律では「告知義務」としています。
しかし、2人目以降には「告知義務」が生じないことや、事件発生後いつまで「告知義務」があるのかといった法律の定めがないなど、はっきりした線引きがされていません。
そのため、実際に訴訟に発展したときの過去の判例による判断がされているのが現状です。

家を売るときには、売る理由を気にする買い手が多いことを頭に置いて適切に告知の判断をし、売り方を検討すると同時に後でトラブルにならないためにも、誠実にサポートしてくれる不動産会社を選びましょう。